さて、2018年8月21日付けの記事『配当再投資していれば株価が全く上がらなくても儲けられる!』では、Tをモデルとして、配当再投資の効果をシミュレーションしました。
そのシミュレーションの結果では、株価が全く上がらなくても、配当再投資で株数が増すために、20年で資産額が3倍になることが示されました。
なかなか面白い結果が得られて満足だったのですが、ふと
株価が下落し続けたらどうなるんだろう?
という疑問が湧いてきたので、早速シミュレーションしてみました。
前提条件は
① 30 USDの米国株を100株購入し、ずっとホールドし続ける
② 配当金は全額再投資する
③ 配当利回りは6% (すなわち、1.8 USD)
④ 配当金はずっと変わらない
⑤ 運用期間は20年とする
です。さあ、どんな結果になるでしょうか?
シミュレーション①:株価は下落の一途をたどる・・・が!?
株価が、毎年1 USDずつ下落するとします。この右肩下がりの最悪のシナリオの結果は・・・?
年数 | 株価 (USD) | 株数 | 資産額 (USD) | 配当額 (USD) | 追加株数 |
1 | 30 | 100.0 | 3000.0 | 180.0 | 6.0 |
2 | 29 | 106.0 | 3074.0 | 190.8 | 6.6 |
3 | 28 | 112.6 | 3152.2 | 202.6 | 7.2 |
4 | 27 | 119.8 | 3235.0 | 215.7 | 8.0 |
5 | 26 | 127.8 | 3322.9 | 230.0 | 8.8 |
6 | 25 | 136.7 | 3416.3 | 246.0 | 9.8 |
7 | 24 | 146.5 | 3515.8 | 263.7 | 11.0 |
8 | 23 | 157.5 | 3622.0 | 283.5 | 12.3 |
9 | 22 | 169.8 | 3735.7 | 305.6 | 13.9 |
10 | 21 | 183.7 | 3857.6 | 330.7 | 15.7 |
11 | 20 | 199.4 | 3988.8 | 359.0 | 17.9 |
12 | 19 | 217.4 | 4130.4 | 391.3 | 20.6 |
13 | 18 | 238.0 | 4283.7 | 428.4 | 23.8 |
14 | 17 | 261.8 | 4450.3 | 471.2 | 27.7 |
15 | 16 | 289.5 | 4632.0 | 521.1 | 32.6 |
16 | 15 | 322.1 | 4831.1 | 579.7 | 38.6 |
17 | 14 | 360.7 | 5050.1 | 649.3 | 46.4 |
18 | 13 | 407.1 | 5292.3 | 732.8 | 56.4 |
19 | 12 | 463.5 | 5561.6 | 834.2 | 69.5 |
20 | 11 | 533.0 | 5862.8 | 959.4 | 87.2 |
ありゃ、資産額が増えていますね!
前回のシミュレーションでは、株価が30 USDでずっと変わらない場合に、20年間配当を再投資し続けると、初期の投資額の3倍まで資産が増加しました。今回のシミュレーションでは、
株価が投資開始時から3分の1になった場合でも、総資産は初期投資額のほぼ2倍になる
というビックリする結果となりました。
これは、株価が下落する一方で配当が据え置かれることより、配当再投資で購入できる株数が増え、株数の増加が株価下落の影響を上回って、資産価値増加に反映されたものと理解できます。
実際には、株価が11 USDまで下落したら配当利回りが16%を超えますので、買いが入ってここまで下がることはなく、したがって株数はここまでは増加しないと思われます。ですが、株価下落時の配当再投資の効果は明らかですね。
さて、上記のように、これまた面白い結果となったのですが、上の表を見ているうちに
株価が下落してから元の値段に戻ってきたらどうなるんだろう?
という次の疑問が湧いてきたので、これもまたシミュレーションしてみました。
シミュレーション②:株価がやっと戻ってきたと思ったら、なんと!!!
このシミュレーションでは、株価が毎年1 USDずつ下げて20 USDになった後に、株価が反転して毎年1 USDずつ上昇すると仮定しました。20年後には株価が29 USDに戻って、あと1年で
やれやれ売り
のタイミングとなりますが、さてその時の資産額は・・・?
年数 | 株価 (USD) | 株数 | 資産額 (USD) | 配当額 (USD) | 追加株数 |
1 | 30 | 100.0 | 3000.0 | 180.0 | 6.0 |
2 | 29 | 106.0 | 3074.0 | 190.8 | 6.6 |
3 | 28 | 112.6 | 3152.2 | 202.6 | 7.2 |
4 | 27 | 119.8 | 3235.0 | 215.7 | 8.0 |
5 | 26 | 127.8 | 3322.9 | 230.0 | 8.8 |
6 | 25 | 136.7 | 3416.3 | 246.0 | 9.8 |
7 | 24 | 146.5 | 3515.8 | 263.7 | 11.0 |
8 | 23 | 157.5 | 3622.0 | 283.5 | 12.3 |
9 | 22 | 169.8 | 3735.7 | 305.6 | 13.9 |
10 | 21 | 183.7 | 3857.6 | 330.7 | 15.7 |
11 | 20 | 199.4 | 3988.8 | 359.0 | 17.9 |
12 | 21 | 217.4 | 4565.2 | 391.3 | 18.6 |
13 | 22 | 236.0 | 5192.5 | 424.8 | 19.3 |
14 | 23 | 255.3 | 5872.7 | 459.6 | 20.0 |
15 | 24 | 275.3 | 6607.6 | 495.6 | 20.6 |
16 | 25 | 296.0 | 7399.2 | 532.7 | 21.3 |
17 | 26 | 317.3 | 8249.2 | 571.1 | 22.0 |
18 | 27 | 339.2 | 9159.5 | 610.6 | 22.6 |
19 | 28 | 361.9 | 10132.0 | 651.3 | 23.3 |
20 | 29 | 385.1 | 11168.5 | 693.2 | 23.9 |
ぬぁんと、この条件では20年で3.7倍やないですか!!!
20年で3.7倍ということは、年平均で6.8%の株価上昇です。
通常、株式投資の期待リターンは6~7%程度と言われています。したがって、
株式投資の期待リターンを株価上昇なしで達成できた
ことになります。
『まとめ』らしきもの
いやぁ、こんな結果になるとは、ビックリしました・・・。
シミュレーションは行ってみるものですね。
かのジェレミー・シーゲル先生が、配当再投資は
下落相場のプロテクター、上昇相場のアクセル
と喝破されていますが、まさにその通りの結果となりました。
20年もの間、株価が投資初期のそれを超えない場合でも、儲けられるんですよ!
配当再投資、半端ねえ!
と言わざるを得ませんね。
でわ。
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はじめまして、いつもブログを読ませて頂いております。らんぐと申します。
このシミュレーションは私もやりました。すごいですよね。インカムゲインを目指し高配当銘柄に配当再投資をし続ける者としては、最近の相場に自信が揺らぎますが、このシミュレーションは心強いですね。
問わず語りさんは触れていませんが、配当金だけを見るとパターン1の方が多いんですよね。
もちろん、利回り16%なんて「たられば」ですが、実際に10年以上株価が上がらず、配当だけは連続増配している銘柄は米国株にはゴロゴロしていますから、あながち大外れとは思ってません。
これからもブログを楽しみにしています。
らんぐさん
いらっしゃい!
当ブログの常連さんですか。いつもありがとうございます。
高配当株(ただし安定的にキャッシュフローを生み出せる企業限定!)の配当再投資戦略は、かなり有効と思っています。
大勝はできなくても、資産価値が着実に上がっていきますし、なにより下落耐性があります。それに、株価が上がらなくても株数が増えるために、配当は右肩上がりとなります。
S&P500に勝てるかどうかはわかりませんが、『配当金の絶対額の増加』をKPIにしている私にとっては、指数に勝とうが負けようが全く気にならない点もメリットです。
ただ、ドヤ顔で語った『高配当株への配当再投資は効果的!』という今回のポストは、実は欠点があります。その点については、明日の記事で触れますので、よろしければそちらもご覧ください。