2018年4月7日付けの記事『9%超の高配当銘柄! ARCCのご紹介と『逃した』大魚の恨み節』でご紹介したように、私はそれなりのポジション量のARCCを保有しています。
今回は、ARCCへの投資の優位性について、
米国配当株投資家の御用達であるVYM
との比較で説明したいと思います。
ARCCとVYMに投資した場合の配当ケーススタディ
以下の条件で、両銘柄の想定配当履歴を作成してみました。
・初期投資額:100万円
・配当利回り: ARCC 9.36%, VYM 3.0% (2018年5月3日終値ベース)
・年増配率: ARCC 0%, VYM 6.0%
・税金: 20%
以下の表が、その結果となります。
ARCC | VYM | |||
税引配当額 | 配当累計 | 税引配当額 | 配当累計 | |
1年目 | 7.49 | 7.49 | 2.40 | 2.40 |
2年目 | 7.49 | 14.98 | 2.54 | 4.94 |
3年目 | 7.49 | 22.47 | 2.70 | 7.64 |
4年目 | 7.49 | 29.96 | 2.86 | 10.50 |
5年目 | 7.49 | 37.45 | 3.03 | 13.53 |
6年目 | 7.49 | 44.94 | 3.21 | 16.74 |
7年目 | 7.49 | 52.43 | 3.40 | 20.15 |
8年目 | 7.49 | 59.92 | 3.61 | 23.75 |
9年目 | 7.49 | 67.41 | 3.83 | 27.58 |
10年目 | 7.49 | 74.90 | 4.05 | 31.63 |
11年目 | 7.49 | 82.39 | 4.30 | 35.93 |
12年目 | 7.49 | 89.88 | 4.56 | 40.49 |
13年目 | 7.49 | 97.37 | 4.83 | 45.32 |
14年目 | 7.49 | 104.86 | 5.12 | 50.44 |
15年目 | 7.49 | 112.35 | 5.43 | 55.86 |
16年目 | 7.49 | 119.84 | 5.75 | 61.61 |
17年目 | 7.49 | 127.33 | 6.10 | 67.71 |
18年目 | 7.49 | 134.82 | 6.46 | 74.17 |
19年目 | 7.49 | 142.31 | 6.85 | 81.02 |
20年目 | 7.49 | 149.80 | 7.26 | 88.29 |
21年目 | 7.49 | 157.29 | 7.70 | 95.98 |
22年目 | 7.49 | 164.78 | 8.16 | 104.14 |
23年目 | 7.49 | 172.27 | 8.65 | 112.79 |
24年目 | 7.49 | 179.76 | 9.17 | 121.96 |
25年目 | 7.49 | 187.25 | 9.72 | 131.67 |
26年目 | 7.49 | 194.74 | 10.30 | 141.98 |
27年目 | 7.49 | 202.23 | 10.92 | 152.89 |
28年目 | 7.49 | 209.72 | 11.57 | 164.47 |
29年目 | 7.49 | 217.21 | 12.27 | 176.74 |
30年目 | 7.49 | 224.70 | 13.00 | 189.74 |
31年目 | 7.49 | 232.19 | 13.78 | 203.52 |
32年目 | 7.49 | 239.68 | 14.61 | 218.14 |
33年目 | 7.49 | 247.17 | 15.49 | 233.62 |
34年目 | 7.49 | 254.66 | 16.42 | 250.04 |
35年目 | 7.49 | 262.15 | 17.40 | 267.44 |
ケーススタディから分かること
年率6%の配当成長があったとしても、VYMの配当がARCCのそれを超えるのに
20年以上
が必要です。この点は、以前から理解していたのですが、今回改めてキチンとケーススタディを行って分かったのは、
累積配当額については、VYMがコンスタントに増配を繰り返したとしても、ARCCの累積配当額を超えるのには、人の半生はかかる
ということです。そして、仮に配当金を再投資し続けたとすれば、最初から配当金額が大きいARCCが
ぶっちぎりで勝つ!
ことが、シミュレーションをするまでもなく理解されます。
ケーススタディでなく実際の配当履歴は?
さて、『ケーススタディだから、実際にはこのとおりにはならないのでは?』という疑問は当然生じると思われます。
では、その疑問に答えるためにも、実際の両銘柄の一株当たりの配当履歴を、下記の表で確認してみましょう。なお、両銘柄ともに年間を通して配当が支払われた年から記載しており、設定年度を反映していないことに留意してください。
税引前配当額 | 増配率 | 税引前配当額 | 増配率 | |
2005 | 1.30 | – | – | – |
2006 | 1.64 | 26.2% | – | – |
2007 | 1.66 | 1.2% | 1.357 | – |
2008 | 1.68 | 1.2% | 1.443 | 6.3% |
2009 | 1.47 | -12.5% | 1.168 | -19.1% |
2010 | 1.40 | -4.8% | 1.091 | -6.6% |
2011 | 1.41 | 0.7% | 1.327 | 21.6% |
2012 | 1.60 | 13.5% | 1.593 | 20.0% |
2013 | 1.57 | -1.9% | 1.749 | 9.8% |
2014 | 1.57 | 0.0% | 1.908 | 9.1% |
2015 | 1.57 | 0.0% | 2.149 | 12.6% |
2016 | 1.52 | -3.2% | 2.206 | 2.7% |
2017 | 1.52 | 0.0% | 2.401 | 8.8% |
累積増配率 | 累積増配率 | |||
16.9% | 76.9% |
ケーススタディでは、累積配当額も算出しましたが、両銘柄とも設定来の期間が短いために累積配当について意味のある比較可能データを得られないことより、ここでは増配過程のみに着目します。
VYMについては、計算すれば分かりますが、10年間の平均増配率が5.9%であり、奇しくもケーススタディの6%とほぼ同じです。一方のARCCは、12年間の平均増配率が1.2%となります。ということは、両者の増配率の差は4.7%となり、となるとケーススタディの増配率の差の6%と比較して、VYMはさらに不利になります。
『まとめ』らしきもの
以上まとめます。
① ARCCの増配率0%、VYMの増配率6%という条件でシミュレーションを行うと、配当総額でVYMがARCCを超えるのに35年必要である。
② 両銘柄の設定来の増配率の差は4.7%なので、実際にはVYMの配当総額がARCCのそれを上回るためには、①で算出された以上の期間が必要となる可能性がある。
③ 配当金を再投資する場合は、配当額の多いARCCのほうが初期投資額が大きいため、ARCCがさらに有利になる。
と言えるのではないでしょうか?
さて、ここまで論じてきましたが、触れていなかった点があります。それは、両銘柄の持続可能性です。これについては、両銘柄ともリーマン・ショックのような激烈な市場環境をも生き延びてきていますので、問題はないのかなと考えます。
とはいえ、ARCCの配当の持続性については、私は100%の確信はもっていません。投資判断は、ご自身の責任でなさってください。
でわ。
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