私は米国株を主力として配当投資を実行しており、現在48銘柄を保有していますが、そのうちIT企業は2社しか保有していません。
(保有企業はIBMとMSFTで、これは企業規模・配当利回り・配当性向・キャッシュフローの安定性を評価して、購入したものです。ついでに言うと、もう一つの購入理由は『IT企業も少しぐらい保有しておこう』という合理性とは全くかけ離れた理由というかノリというか・・・まあ問題のある投資行動とは認識しており、そのため追加購入は全く考えていません。)
なぜIT企業の株式を購入しないのかというと、それはバフェット老師の名言
自分の理解できない分野に手を出すな!
で説明されるわけですが、それだけではなく別の観点からも論じてみたいと思います。
非IT産業とIT産業との違い
多くの業界では、収益逓減の法則が働きます。これは、事業を展開してある程度以上の市場シェアを獲得してからは、それ以上の収益を獲得するためにはそれまで以上のコストを必要とし、したがって収益性が低下する事象を指します。
具体的に説明すると、例えばA社が20%の市場シェアを握っているとし、さらに市場シェアを拡大する戦略を採るとします。ところが、その市場はB社・C社・D社・E社の競合他社がそれぞれ市場の一部をしっかりと確保しており、そのためA社は市場シェアを高めるためには多大なリソースを投入する必要が生じます。
ところが、そうしたリソースの投入は収益性を低下させ、それは提供価格の上昇や利益低下による競争力の低下を引き起こすこととなり、したがって市場シェア拡大という目標達成が難しくなります。
この結果、(自由競争が担保されているならば)ほとんどの業界では数社が市場を均衡して支配する状況となり、その後に市場シェアを上げるのは極端に難しくなります。そして、いずれかの会社がよほどポカをしない限り、その状態が続くことになり、ある意味では仲良く利益を分け合う形となります。
一方で、IT産業では収益逓増の法則が働きます。ソフト会社を例にとると、売り上げが伸びて損益分岐点を超えたら、それ以降の収益性は格段に向上します。ソフトはほとんどコストをかけずにコピーすることが出来るので、損益分岐点を超えたら売り上げ増加分のほとんどが収益となるからです。
そして、収益逓増で得られた収益を市場拡大のために投入されたら、他社が対抗するのが難しくなり、最終的にそのソフト会社が一挙に業界標準を獲得することも可能となります。
このようにIT業界での競争は、非IT業界での競争とはルールが異なっており、
勝者総取り
が当たり前のように起こることとなります。
配当株投資家にとっての好適な会社とは?
配当株投資家にとって投資するに値するのは、
長期間に渡って安定的に配当を支払ってくれる会社
です。そして、それは上記のように多くの場合は、
三すくみのような状態ではあるが、確実に利益を叩き出す会社
であり、勝者が頻繁に入れ替わる可能性のあるIT産業の会社は投資の対象外となります。
『まとめ』らしきもの
IT産業でプレゼンスを示す会社は、収益逓増の法則が働くため高収益である場合が多いです。したがって、投資家としては食指をそそられる一面はありますが、
オセロゲームみたいなことが起こる産業には、安心して投資していられない
というのが、私の考えです。なにせ根が面倒くさがりで、
バイ&フォゲット(buy & forget)
しておきたいもので。また、IT企業は基本的に高収益であることから、市場で過大評価される傾向があり、これもまた投資家にとっては好ましくありません。
以上より、『配当株投資家』としてはIT業界から距離をおいた投資を続けてきましたし、これからもそのつもりでいます。
でも・・・
IT企業が成長する過程の爆発的な収益向上とそれに伴う株価上昇
は、黙って隣で見ているには惜しいので、キャピタルゲイン狙いでIT企業にも投資しています。ポジション量は、ほんのちょこっとですが。で、結果は
今のところさっぱりです・・・
ま、あくまでお遊び程度ということで。(←ただの負け惜しみ!)
でわ。
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