日本の国債がものすごい額に膨れ上がっているということは皆さん良くご存知と思います。
具体的にどんな状況か知りたい方は
をご覧ください。絶句しますよ・・・。
さて、国債は簡単に言えば国の借金です。借金であるのならば、
借りたものは返さなければならない
という原則に従うべきです。
ではどうやって返すのでしょうか?
税収よりも国債の発行額がずっと大きいというのに?
過去の日本では国債返済のための財産税導入が行われた!
太平洋戦争当時、戦争遂行費用を賄うために日本政府は戦時国債を増発しまくって大借金を作ってしまいました。その額は敗戦前年で
ぬぁんとGDP比266%!
というトンデモないレベルに達していました。
この償還に備えるために、財産税が導入されたことはご存知の方も多いと思いますが、財産税の導入については『昭和財政史 終戦から講和まで 第11巻 政府債務』に詳しい記載があります。この本は、財務総合政策研究所のHPから入り込むと、pdfファイルとして全文を読むことが出来ます。
さて、財産税については88ページから89ページに下記の記述があります。
大蔵省として天下に公約し国民に訴えて発行した国債である以上は、これを踏みつぶすということはとんでもない話だ、というような意見が勝ちを占めまして、おそらく私もその一人であったろうと思うのですが、これは満場一致の形で、取るものは取る、うんと国民から税金その他でしぼり取る、そうして返すものは返す、こういう基本原則をとにかく事務当局で決めてしまいました。
とんでもない議論ですね! 勝手に国債を膨らませておいて、その返済のために国民から財産を徴収するとは。
しかも『国民から税金を徴収する』なら百歩譲ってまだ許せるとしても、『国民から税金その他でしぼり取る』と明言していているんですよ!
これが財務官僚の考え方なんですね。
何でしょうか、このトンデモ上から目線は!!!
その場で財産税という構想が出まして、議論を重ねました。
さすが、仕事が早い!
(↑ 皮肉!)
この財産税は結局日本戦後の財政史上、国内混乱を起こした以外何ものでもないことになりましたが、財産税の構想はその会合でたまたま議論が起こったものです。
『たまたま』ですか・・・
もともとこの会議は初めから財産税を取ろうとして集まったものではありませんでした。戦後財務処理の一般的な話から話がそこまで行ってしまったのです。この会合で議論し合ったことは戦後に日本のインフレ問題に、財政問題として大きな影響を与えたので、特筆すべき会合であったと思います。
特筆すべき会合と言われてもねぇ・・
さて、財産税については、実は同書75ページに以下のような記載がありました。
財産税の問題は・・・もともとGHQの側から言われて始めたことではなかったのであります。むしろGHQのほうでは、日本政府が積極的に財産税を創設しようということをきいて、びっくりした、というような感じでありました。一体そんなことができるか、といったふうなわけで、この問題を司令部側では受け取ったようでした。
とあるように、日本国政府が自らが音頭を取って財産税の導入に踏み込んだことがわかります。
では、財産税でどのぐらいふんだくられたのか?
以下が、財産税の実施時点における階級別見込み額です。
区分階層 | 財産額 | 課税額 | 税率 |
千円超 | 千円/人 | 千円/人 | |
100 | 104 | 1 | 1.0% |
110 | 114 | 4 | 3.2% |
120 | 124 | 7 | 5.6% |
130 | 138 | 12 | 8.8% |
150 | 158 | 21 | 13.0% |
170 | 182 | 32 | 17.6% |
200 | 240 | 63 | 26.3% |
300 | 380 | 144 | 37.9% |
500 | 675 | 330 | 48.9% |
1,000 | 1,175 | 664 | 56.5% |
1,500 | 2,025 | 1,285 | 63.4% |
3,000 | 3,700 | 2,576 | 69.6% |
5,000 | 8,500 | 6,591 | 77.5% |
15,000 | 52,471 | 45,834 | 87.4% |
お金持ちにとってはトンデモない課税率ですね!
しかしながら、前掲の書には以下の記載もありました。93ページです。
やはり現在における個人財産又は会社の財産を標準とする財産税の外にはない。・・・(中略)・・・。尚本税の収入が相当の額に達するまでに約1年の日数を必要とする。その間インフレーションは進行する。
という記載があり、さらに97ページには
現実の過程としてインフレーションが進行し、その悪性化が懸念されるようになった年末の頃には、インフレーションの結果として、国債の実質負担が軽くなっているという事実について、明確な認識が存在していた。
という記載があります。結局のところ、
インフレでチャラになったのよ!
ということですね。
『まとめ』らしきもの
戦後の国債償還の問題に対して財産税の導入が行われたものの、結局はインフレで債務が帳消しになったという経緯が、本書を読むことで理解できました。
つまり・・・
将来に日本の国債問題が勃発した場合にはインフレでやられるのはほぼ不可避!
と考えるべきですね。ですから、今のうちからインフレ耐性の強い資産を積み上げておく必要があります。
一方、財産税については、敗戦直後はともかく今の日本は民主主義国家ですから、そんなことをさせないように政治家に目を光らせておく必要がありますね。
でわ。
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TETEです!
インフレ対策は必須ですよね!
財産税がいきなり発動されても良いように資産保護をもっと意識しないいけませんね(^^)
お互いに頑張りましょーよ!!
TETEさん
いらっしゃい!
インフレにも財産税にも強いであろう『〇〇〇〇での△△投資(国外もあり)』ですね。
早く私もそこにたどり着かないと・・・またよろしくお願い致します!