さて、一旦ブログを休んでいた時に、読者からお問い合わせをいただきました。
内容を読むと・・・
ぬぁんと、『妙齢のお嬢さん』からのお問い合わせ!
ではありませんか!
鼻の下を伸ばしたブログ主は、もちろんソッコーで休暇を返上しましたとさ。
rinさんから頂いたご相談とは?
今回ご相談を頂いたのは
rinさん
です。いらっしゃい!
まず、rinさんのスペックを以下にご紹介します。
・妙齢のお嬢さん(しかも独身!)
・残念なことに体調不良により御実家で静養中・・・
うーん、男としては放っておけませんね、この案件は。全力回答したいと思います!
(↑ご主人様には内緒ね)
さて、ご質問は以下のとおりです。
私の投資歴としては、
海外で積立投資を9年前から開始しています。 スタンダードライフ、Harvest101という商品で、 月300USDを25年契約で積立しています。 現在約400万円(36,506.94USD)ほどで、
休職中もどうにか継続しています。 他、個別株(日本株、香港株)で約100~200万、債権(
グロソブ売りたいです)25万、他75万、普通預金約800万、
合計約1500万程度になります。現在検討中なのは、現在黒字の日本株、香港株、債権を売却し、
元本+利益を他の投資に回したいと考えています。 プランA、
スタンダードライフを月200USDを数年間増額する。( 24万×4年 約100万円) プランB、積立NISAでS&P投資信託かETFへ50%、
他で残り50%を高配当米国株を買付運用する。 プランC、ARCCに入れ込む(170~350万円程度を)。
以上のようなプランを考えていますが、これについてコメントをいただけませんか?
体調も一時より回復し、
フルタイムは無理でも今後は週数日働くつもりです。考えるのは、 今後体調不良で働けない、 年々より経済的に早く安定した基盤を作りたい( 配当金や海外投資)と思っています。
『適性なリターン』についての感覚を養おう!
まず、ご質問にお答えする前に、ちょっと回り道をして投資のリターンについて考えてみましょうか?
株式に分散して投資した場合の平均的な期待される年率リターンは、実質(つまりインフレ分を差し引いて)6~7%程度です(以下、『実質リターン』とせず単に『リターン』と記載します)。
この6~7%という数字の重要性をしっかりと認識することが、株式に限らずあらゆる投資家には必要です。
何が言いたいかと言うと、株式という投資対象は
非常に多くの投資家が参加するかつ情報伝達が早い市場で、多数売り買いされている。そのため、値段のゆがみは短時間で解消され、おおむね適性な値段に落ち着く
という特性があります。良く言われる表現では、
株式市場は流動性があり効率的である
ということです。
そして、株式はリスク資産ですから、
流動性が確保されている効率的な市場でリスク資産が売買される場合の平均的な年間リターンは6~7%である
と言い換えることもできます。
(↑かなり論理展開を端折っていることはご理解下さい。)
では、年間リターンが6~7%のレンジを外れる投資対象はどのような特徴があるでしょうか?
まず、年間リターンが6~7%よりも低い投資対象は、債券や現金といったリスクの少ない商品です。
リスクが少ない分だけ低いリターンに甘んじることになりますが、多くの投資家は少ない利益であってもリスクを避ける傾向がありますので、こうした投資対象を好みます。
『株は怖いから貯金しかしない』という投資家(ご本人にはその意識はないかもしれませんが、貯金も立派な投資です)は多数いらっしゃいますよね?
一方、年間リターンが6~7%を超える投資対象については、どのように考えるべきでしょう?
先ほど、『リスク資産が、流動性が確保されている効率的な市場で売買される場合の平均的な年間リターンは6~7%である』と述べましたが、であればとある投資対象の年間リターンが6~7%を超えるということは、その投資対象は流動性と効率性が不十分な市場で取引されるものである、と理解すべきです。
このような市場では、価格の歪みが放置されたままとなることがままあり、そのために目敏い投資家はその歪みに付け込んで大きな収益を上げることが可能です。
ただし、こうした市場は規模が小さいことが多く、また出回っている商品は特殊なものである場合が多く(たとえば、美術品などですね)、万人がリターンを取れるような場所でないことが多いです。
それから、株式の平均リターンを超えるリターンを投資で取りに行くことは難しいことであり、その分その投資対象の安全性は低下します。
(以上、説明としては甚だ不十分ですが、全てを語っていると話が進みませんので端折っています)
以上をここで一旦チョー乱暴にまとめると
年間の期待されるリターンが6~7%を下回る投資対象はおおむね安全性が高い。一方、それを上回る投資対象は安全性に劣り、株式投資よりリスクが高いケースが多い。
ということになります。(ホントに乱暴にまとめていますが、この点はご了解ください)
ここで、さらに寄り道します。
とある数字を、感覚的に正しいあるいは正しくないと判断できることは、日常でも良くありますね?
例えば、スポーツを例に挙げると
『年間打率5割を超えるプロ野球選手がいた』
『プロサッカーで打ち合いになり、結局10-9で勝負がついた』
『プロバスケットボールで緊迫した試合となり、1-0で決着がついた』
と言われても、それぞれのスポーツを知っていれば全てウソであることがすぐに分かります。
ところが、投資についてはこの数字感覚がない方がほとんどです。それは、投資に馴染みがないからですが、そのためにトンデモナイ投資スキームに騙される方が後を絶ちません。
最近でもありましたね? 月3%の配当があると騙って素人をだましていた事件が。月3%の配当が12カ月続くと年率36%のリターンとなりますが、それが如何に荒唐無稽なスキームであるかは単に
年間の期待されるリターンが6~7%を上回る投資対象は安全性に劣る、もっと言うと株よりリスクが高い!
という基本を知っていれば防げる話なのですが。
rinさんの投資対象で『?』と思うところ
rinさんが投資されているスタンダードライフHarvest101という商品は、オフショア生命保険ですね。
そして、rinさんのメール文面を借りると
ゴールが積立から25年後で、大体年平均9%~14%
になると聞いており、ゴールに運用利率が上げるため、 積立開始から途中は利率は低くなり、 後半で利率を上げる投資方針と聞いています。
との事です。
ここでの年率平均9~14%は、おそらくはインフレ調整していない値と思われますので、インフレ率を3%と仮定し、実質リターン6~11%として話を進めます。
つまり、スタンダードライフHarvest101と言う商品は、株式並みかそれ以上のリターンを上げられると、運営者は主張しているわけですね。
もし、経験豊富な投資家がこれを読んだならば
ぬぁに、『株式並みかそれ以上のリターンが出せる』だと? しかも生命保険会社が? そいつは眉唾ものだ!
と直感的に思うでしょう。投資リターンについての肌感覚からすると、あまりに美味しすぎる話だからです。
実は、私はオフショア生命保険についてはほとんど知りません。ですが、投資家としての肌感覚から、以下のように考えます。
生命保険会社が顧客から預かっている資金量は機関投資家並みであり、それだけの資金を運用できる先は限られている。
可能性があるのは、為替・商品・株式だろうが、前2者で安定的にリターンを得ることは生命保険会社には難しいはずだ。
不動産等の可能性はあるだろうか? いや、生命保険会社のビジネスの特性からすると、換金性に劣る投資対象には手を出しにくいはずだ。良くてREITどまりだろう。でも、REITで高いリターンを出すのは難しいだろう。
となると、やはり株式に投資するはずだが、であればリターンは6~7%程度であり、そこから各種経費が差し引かれるので、オフショア生命保険が6~11%の運用利率を叩き出せるというのは、にわかには信じがたい・・・。
以上は、オフショア生命保険について無知な投資家の無責任な発言です。ですが、これに反論するためにはオフショア生命保険が素晴らしいリターンを約束できる根拠が必要です。
ですので、rinさんにはスタンダードライフHarvest101の運営母体に『顧客から預かった資金をどのように運用していますか? 具体的な投資対象は何ですか?』と質問することをお勧めしたいと思います。
そこで明確な回答が返ってきたら継続運用で良いでしょうし、『?』という返事であったら運用先としての適格性を疑うべきでしょう。
投資の基本は、
自分が理解できるものに投資すること! そして、適正なリターンが提示されている投資対象に投資すること!
ですので、その上でご判断されるべきと考えます。
『命金』をARCCに投資しても良いのか?
rinさんの場合、もう一つ考えておくべきポイントがあります。それは、現在休職中で、労働によって得られる追加資金が当面期待できないことです。
したがって、現在のrinさんの保有資産は命金であり、それをどの程度のリスクにさらして運用すべきかを良く考える必要があります。
そこで気になったのは、プランCの『高配当のARCCに入れ込む』というアイデアです。
通常、配当株からは2~5%程度の配当を期待できます。それが5%を大きく超えてくる場合は、何らかの問題を企業が抱えているということを意味しています。
ARCCはBDCという一種のベンチャーキャピタルで配当は破格の9%超ですが、それはお金を借りるのが簡単でない中小企業相手に資金を貸し付けているために貸付金利を高く設定できるからですが、中小企業が対象なので倒産による貸し倒れリスクは常に付きまといます。そうしたリスクが高いがゆえの高配当であることには、注意しておく必要があります。
当ブログでもさんざん述べているように私はARCCにそれなりの資金を投入していますが、全株式ポートフォリオに占める割合は10%を超える位に留めており、今後さらに増やすとしても15%程度までに制限するつもりです。
それは、ARCCのように超高配当を出す投資対象はリスクが高いと認識しているからで、場合によっては破綻もありうると考えているからです。
(ちなみに、この10%~15%というのは私個人の肌感覚で許容と考えているレベルであり、根拠はありません。)
私は給料からと配当株からの配当があるので、たとえARCCが破綻したとしてその分を穴埋めすることは可能ですが、rinさんの場合は追加入金の余力は限られていますので、ARCCに資金を投入するのは悪くないと思いますが、その割合は限定されるべきと思います。
rinさんにお勧めの投資プランは?
さて、ではrinさんがどのように今後投資を行うべきか?については、既にご自身で答えを出していらっしゃいますね? そうです、プランBです。
プランB、積立NISAでS&P投資信託かETFへ50%、
他で残り50%を高配当米国株を買付運用する。
このプランは、『キャピタルゲインも配当も』という意味ではバランスがとれていると思います。
投資対象の比率や(個別株については)選択について随時見直していく必要があると思われます。ですが、メールから頂いた情報からは、rinさんは株式投資については初心者レベル以上のご経験をお持ちでしょうから、更に経験を積むことで上手く対応できるのではないかと思われます。
また、現金や債券は常に一定割合は保有しておくことをお勧めします。
私は株式に少なからぬ資金を投入を投入していますが、それでも全資産の4割程度は現金とその等価物とするようバランスを取っています。いざという時に一番頼りになるのは現金等ですからね。
なお、高配当米国株については、比較的地味な事業を展開している超大企業に投資するのが良いでしょう。どんな企業に投資するべきかは、コメント欄でお答えした『和波の投資生活ブログ』で勉強してから決定されることを強くお勧めします。
また、各企業の過去のキャッシュフローもきちんと確認してくださいね。キャッシュフローはその企業の実力を明白に示す指標ですから、最重要視すべきと私は考えています。
特に営業キャッシュフローマージンの確認は必須ですが、これについては2018年12月28日付けの記事『読者からのご相談(3):ポジポジ病にかかったみやみやさんへの処方箋』に詳しく記載してありますので、そちらを参考にしてください。
『まとめ』らしきもの
以上回答させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
かなり端折って説明していますし、自分で書いておきながら細部では『詰めが甘い!』と思う部分もありますので、分からないところやご不明な点は改めてご相談下さい。
念のために申しますが、以上はあくまで一個人投資家の意見にすぎませんので、投資についてはご自分で十分に考慮されて自己責任でお願いしたいと思います。
rinさんの投資が成功されますように。
また、当ブログをお読みの方で投資相談をされたい方は、遠慮せずコメント欄からコンタクトしてください。
質問への回答を考える過程で自分の考えが整理されますので、私にとってもメリットがありますし、加えてブログネタをご提供いただけるのでブログ主としては助かります(笑)
『初心者がこんな質問するのは気が引ける・・・』と遠慮することはありません。誰だって最初は初心者ですからね。それに投資仲間が増えるのは私にとっても嬉しい事ですから、そのお手伝いをしたいと思っています。
でわ。
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