皆さんは、ドラえもんをご存知ですね?
ドラえもんの登場人物の一人に、ジャイアンという少年がいます。『おまえのものは俺のもの、俺のものはおれのもの』というセリフに代表されるように、自分勝手でわがままな奴ですが、腕力が強いので誰も逆らえません。
今日はジャイアンをネタに、株式投資を語ってみましょうか?
ジャイアンと株式投資の関係って?
ジャイアンは自分勝手な奴ですが、ジャイアンを超える力の持ち主はドラえもんの登場人物の中にいませんので、ジャイアンは自由気ままにふるまうことができます。そして、自分勝手にルールを作ることができます・・・
自分勝手にルールを作ることができる!(←ここ重要!)
これって、すごくないですか? もしある会社が、自社のビジネスに有利なようにルールを作ることができるのであれば、その会社は大儲けできますね? でも、そんな都合の良いことができる会社はあるものでしょうか?
ジャイアンのような会社の例
それがあるんですよ・・・例えばこんな会社。
この会社は学術情報を取り扱う会社で、多くの学術論文を出版しています。私の専門領域では、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, Tetrahedron, Tetrahedron Letters, Heterocylesといった雑誌が有名です。
また、以下のような会社もあります。
この会社も同様に学術誌を発行していて、Angewandte Chemie International Edition, Advanced Synthesis & Catalystsといった超有名雑誌を抱えています。
これらの会社のジャイアンぶりを、以下ご説明します。
科学者は研究成果を得た場合、それを学術論文に発表します。科学の世界では
publish or perish !
という言葉が知られていますが、これは『研究成果を学術論文として発表せよ。さもなければ研究の世界で生きていけないぞ。』という意味ですが、実際研究成果を出せない研究者は職にとどまることはできませんから、研究者は競って学術論文に研究成果を発表しようとします。
ところで、研究成果を発表するの雑誌はなんでも良いわけではなく、格式が高いとみなされる雑誌に掲載される事が必要です。自然科学の分野での格式の高い雑誌といえば、皆さんも名前はご存じと思いますがNature やScienceが双璧ですが、その次のランクに位置する雑誌類をElsevierやWileyは保有しており、そのために質の高い学術論文が両社の雑誌には集まってきます。
さて、科学の研究者にとっては、世界の潮流を理解して自分の研究に生かすために、質の高い学術論文を読むことは必須です。例えば、上で挙げたAngewandte Chemie International Editionなどは、有機化学者であれば絶対読まなければいけない学術雑誌の一つです。
この結果、何が起こるでしょうか? ElsevierもWileyも、雑誌の購読料を値上げしてきます。私が知っている例では、年10%近く上げてきたこともありました。でも、これに抗する手段は我々にはありません。なぜなら、ElsevierやWileyの学術雑誌なしでは研究ができないからです。したがって、値上げを受け入れて購読を続ける以外の選択肢はないのです。
以上のような状況は、ある種の独占権を学術雑誌出版社が握っていることにより引き起こされます。
そして、これらの雑誌社が決定する購読料は否応なしに受け入れなければならないのです。ジャイアンが決めるルールのように。
『まとめ』らしきもの
以上述べてきたように、学術雑誌の出版社は
ジャイアンのような企業
と呼ぶにふさわしいのですが、今回取り上げた事例は
独占事業
を持つ会社の強みを、余すことなく示しています。独占事業を有する企業は
自分で自分に有利なルール
を作ることが出来ます。そうした事業を有する企業に投資していきたいものです。
なお、当記事は個別株の購入を推奨するものではありません。株式投資は自己責任でお願い致します。(←私は、Wiley株もElsevier株も持っていません)
<蛇足>
本当は、ジャイアンの横暴から完全に隔離されている『しずかちゃん』のような企業に投資したいところなんですが、そんな企業がイメージできなくて・・・どなたか、『しずかちゃん企業』のアイデアがあれば、教えていただけませんかね?
でわ。
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